スケーリングクエスチョンを使ったセルフケア

解決志向ブリーフセラピーの手法のひとつで、スケーリングクエスチョンというものがあります。

「最高の状態を10、最悪の状態を0として、今は何点ですか?」

という感じの質問をします。そうすると、例えば、

「うーん、調子がいまひとつだから、4点かな」

といった答えが出てくるかと思います。

普通、というかなんというか、よくあるパターンでは、

「10点満点まで6点足りない。その6点ってなんだろう?」

と、足りないほうにフォーカスすることが多いんじゃないかと思いますが、解決志向ブリーフセラピーでは、まずはできている4点にフォーカスします。

「4点なんだ!その4点って、どんなことが出来ているの?」

そうすると、まあ、いまひとつだけど4点分はできてるんだよなー、といろいろ出てくると思います。その上で、

「4点を5点にするには、どうしたらいいかな?」

といくわけです。点数を上げていくという意味ではは、足りない6点にフォーカスするのと同じと思われるかもしれませんが、前段階で4点分はあることを認めたうえで次のステップに行くのと、いきなり足りないところに行くのとでは、安心感の面で大きく異なります。

4点分の安心+次の1点のためのプラン → 安心して行動を考えられる

6点分の不安+6点アップのためのプラン → 不安や焦りから行動を迫られる

というのがスケーリングクエスチョンです。これを面談の中でやっていくわけですが、私はこれをセルフケアのひとつの手法として自分自身に使っています。

日々、自分の至らなさに気づいて落ち込んだり情けなく思ったり、そういうことは生きている以上、避けては通れません。自分の課題に向き合う時間があってもいい、それも必要かとは思いますが、あまりにマイナス面ばかりに目を向けてしまうと、マイナスのループに入って抜け出すのに時間がかかってしまったり、ということ、ありませんでしょうか。私は結構あります。

そこで、10点満点中の1点でも2点でも、今の自分ができているところを見つけて、自分で自分を承認していく。その上で、次のステップに向けて何をしたらいいのかな、と考えていくと、すごく気持ち的には楽な形で未来に目を向けることができます。

この土日で勉強会に二つ出てきまして、いろいろな気付きとともに、いろいろな反省が出てきました。そういうところに向き合いつつも、今の自分もそれはそれで認めていく、そのあたりのバランス感覚が大事なのかな、と思っています。

このところ同じ本ばっかり紹介してナンですが、本日のスケーリングクエスチョンをはじめ、キャリアカウンセリングやセルフケアとしても使える様々な手法が解説された、解決志向ブリーフセラピーの入門書にして決定版、森先生と黒沢先生のワークショップ形式の解説本はこちらです。

解決志向ブリーフセラピー 中心哲学3つのルール

引き続き、解決志向ブリーフセラピーの本を読みながらのエントリーです。

解決志向ブリーフセラピーにおいて基本中の基本であり、結局もうこれに尽きる、というくらいの奥義みたいなものだと思うのが、この中心哲学3つのルールです。

<ルール1>もしうまくいっているのなら、変えようとするな。
<ルール2>もし一度やって、うまくいったのなら、またそれをせよ。
<ルール3>もしうまくいっていないのであれば、(何でもいいから)違うことをせよ。

「<森・黒沢のワークショップで学ぶ>解決志向ブリーフセラピー」P22

私は特にルール1が大好きです。こちらの本でも事例としてあげられていますが、仕事の進め方でも考え方でも、まあ何でもいいのですが、セミナーに行ったり本で読んだりして、今のやり方ではいけない!とテンションがあがって自分のやり方を変えていく・・・結構ドツボにはまって逆効果、ということが多かったりします。

もちろん、よりよいものを目指していく向上心であったり、成長したいという気持ち、それ自体は素晴らしいものだと思います。しかし、だからといって常に「このままではいけない」というのも自己否定の連続でありますし、それまでの過程で試行錯誤の末にそういった自分流のやり方になっているのであれば、それはそれでひとつの完成形みたいなものです。わざわざ変えなくっても良いのかもしれません。

私自身は、ITやパソコンなどの使いこなしのところで、そういうようなことをよく感じました。例えば、いま使っているテキストエディタで気に入ってるのに、新しく出たテキストエディタが良いらしい、カッコイイらしい!と聞いて、そちらに乗り換えてみる・・・けれど、しっくりこないしストレスも溜まって、というようなこと。まぁ、IT系なんか新しいことに手を出していくことも大事なんですけどね、その時点その時点の自分流ももっと大切にしようと思ってからは、結構気楽にもなったし、うまくいくようにもなった気がします。特にGTD。

ということで話を戻して、3つのルールをまとめると、うまくいってないなら何でもいいから違うことをして、一回うまくいったらもう一回それをやって、さらにうまくいくことが続いたら、もう変えない・・・ということです。

本当にシンプルです。

ということを念頭におきつつ、日々のキャリアカウンセリングを振り返ると、いろいろな反省点とともに、次はこうしたらいいかな、という気付きがあったりもします。

「<森・黒沢のワークショップで学ぶ>解決志向ブリーフセラピー」を読みながら

解決志向ブリーフセラピーを学ぶのに、最初の一冊でもあり、最高の一冊でもある、と思っています。時間があれば、パラパラとページをめくって読み返しています。今日はプロローグを読んでいました。このあたり。

多くのクライエントを援助してきて、すごくうまくいったり、役に立てたということがあります。それらの中では、従来の臨床心理学では理屈のつかないものがいくつもありました。だから学会発表できないんですね。「何であのときうまくいったんだろう」「どうして役に立てたんだろう」と考えていったとき、そのかかわりの基本が解決志向ブリーフセラピーのものの見方・考え方と一致していることを知ったのです。

「<森・黒沢のワークショップで学ぶ>解決志向ブリーフセラピー」P19より

現場でうまくいったケースだが、従来理論では説明できない。なので、あまり大っぴらに言えずにいた。ある時、そうした「従来理論では説明できないけどうまくいったケース」が、ひとつの体系になっていることを知り、目からウロコが落ちるようなスッキリ感。

というのって、ソフトウェア開発の分野において、eXtreme Programming (XP) などのアジャイルな開発手法が出てきたときとすごく良く似ているような、そんな気がしました。

eXtreme Programming というのは、それまでのソフトウェア開発手法(仕様を定め、正しい手順で行い、後戻りを許さない)とは異なり、日々の変化に対応できるような柔軟性のある開発手法です。一見、従来理論では説明がつかない、あるいはダメと言われてきたことをやって、なのに開発がうまくいく、かつ開発者もやりがいを感じられる、というもので、多くの現場の開発者の支持を得ました。2000年頃のことです。(その後、私自身は開発に関わることなく、IT業界から足を洗ってしまったので、今はどうなっているか、よくわかりません。)

私が院生の頃、指導教授が、

「開発者って、昔からそういうやり方(XP的なやり方のこと)、してたと思うんですよ。それが(XPとして)出てきて、やっぱりね、と思ったり、ほっとしてるようなところ、あるんじゃないですかね」

と言うようなことを仰っていたように思います。2000年頃のことです。この本も2002年出版ですから、同じような時期ですね。そういえば、解決志向ブリーフセラピーの本を読んだり勉強したりするときの感覚って、XPの本を読んでいたときのワクワク感とよく似ているような・・・。

セドナメソッド

先日、三宮で開催された安藤理さんのセドナメソッド入門セミナーに参加してきました。セドナメソッドは本で読んで自分なりに試してみた程度。なんとなく効果は感じるような、でもシンプルすぎてこういうやり方でいいのかな?という気持ちもあり。実際にセミナーでガイドを受けながらやってみて、スクリプトを数回繰り返していくこととか、本にも書いてあることとはいえ、本で読む以上の腑に落ち感があります。再度、本をよく読んで、もう少し深いやり方のところを実践したいと思っています。

ところで思ったのが、セドナメソッドとクリアリング・ア・スペース(フォーカシング)の類似性。たぶん原理としては同じなのかな、と。いずれも「今ここ」を感じるプロセスですもんね。そして手放すとか、しっくりくる場所に置いてみるとか、いずれも外在化的。クリアリング・ア・スペースのほうが、じっくりとひとつひとつのフェルトセンスをみていく感じで、セドナメソッドはスクリプトに沿って淡々と進めていく感じ。どちらがいいとかではなくて、しっくりくるやり方であって、かつ効果があるのなら、良いんじゃないかなーと思ったりする次第です。

個人的には、時間があればクリアリング・ア・スペースでフェルトセンスをじっくり感じて楽しみたいし、でもクイックモーションでやるべきときはセドナメソッド、あともし誰かにやり方をつたえるとすればきっとセドナメソッドのほうがシンプルでいいかと思っています。セルフケアの手法はいろいろ引き出しを持っておきたいところ。

ちなみに今のところ自分の中で最強のセルフケアは、スケーリングクエスチョン(解決志向ブリーフセラピー)を自分にやってみるという方法です。あとTFT(タッピング)も一度カウンセリングの中でやってもらったことがあって、びっくりするくらいに効果がありました。自分で出来るようになりたいなあと本を買ったものの、ちょっとプロセスが複雑なのでそのままに。

解決志向ブリーフセラピー関連書籍

最近、学生支援の同僚のなかで解決志向ブリーフセラピーが密かに?流行っていて、勉強会に参加したり、本を回し読みしたり、とみんなで勉強をしています。

そういった時に紹介できるように、私が今まで読んだ解決志向ブリーフセラピー関連の書籍をまとめておきたいと思います。

森俊夫・黒沢幸子「<森・黒沢のワークショップで学ぶ>解決志向ブリーフセラピー」(2002年、ほんの森出版)

一番最初に読ん解決志向ブリーフセラピーの本です。解決志向ブリーフセラピーの著書を多数出しておられる森先生、黒沢先生のワークショップをそのまま文章に起こしたもので、両先生のジョークや悪ノリ、ツッコミなどもそのまま掲載されていて、初めて読んだときは「なんやこれは!」と驚いたものです。

しかし内容は解決志向ブリーフセラピーの基本的な考え方から一通りの手法、また全体をとおして解決志向のマインドにも触れられる、とても良い一冊です。解決志向ブリーフセラピーとはなんぞや?という方は、まずこちらから入られるといいでしょう。

読みやすくて全体像が把握できるようになっていますので、まず最初に読む本として素晴らしく、また一通り読んだあとで復習として読み返す本としても良いかと思います。

森俊夫「先生のためのやさしいブリーフセラピー」(2000年、ほんの森出版)

次に読んだのがこれ。出版されたのはこっちのほうが古いようです。「月刊学校教育相談」という専門誌があるそうでして、そちらに掲載された森先生の連載、その後半部分だそうです。(前半部分は別の本になっています)

「先生のための」とありますように、学校の先生やスクールカウンセラー向けのブリーフセラピーの本という位置づけではありますが、学生支援のキャリアカウンセリング、もっと年齢層が上の場合でも十分、参考になるかと思います。実際、学校の先生を相手にロープレしている事例も紹介されています。

本書の注目は特に後半部分、ロープレの逐語記録の随所に森先生の解説が加わっている点です。ブリーフセラピストはこんなふうに考えながらやってるんや・・・と目からウロコでした。

森俊夫「“問題行動の意味”にこだわるより“解決志向”で行こう」(2001年、ほんの森出版)

前述の「月刊学校教育相談」での連載の前半部分がこのブックレットだそうです。「先生のためのやさしいブリーフセラピー」が事例も交えた具体的な内容になっているのに対して、こちらはやや原則論的な内容です。

私なりに解釈すれば、解決志向ブリーフセラピーが解決志向ブリーフセラピーたるゆえんは、ミラクルクエスチョンとかスケーリングクエスチョンとかコンプリメントとか、まあそれも大事には違いなんですが、それよりもその手法が使われる意図、マインドの部分にあるのだと思います。この本を読んで、解決志向ブリーフセラピーのマインド、ブリーフセラピストの在り方、解決志向とは何か、ということが腑に落ちた気がしました。

薄いブックレットなので、すぐに読めるのでこちらもオススメです。CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の研修で「ソリューション・フォーカス」(解決志向ブリーフセラピーとほぼ同義)のコースがあり、そこで講師を務めていらっしゃった方からご紹介いただきました。

黒沢幸子「指導援助に役立つスクールカウンセリング・ワークブック」(2002年、金子書房)

まだ全部読んでいないのですが、スクールカウンセラー、学校の先生向けの解決志向ブリーフセラピーのワークブックです。質問形式で、こんなときにどう答えるか? というワークで構成されています。

大学生の就職支援をしているときに、カウンセラーとして話を聞く部分と、一人の社会人としての情報提供や私の主観が入ったコメントをする部分とのバランスに悩んだ時期があって、学校教育の場合はどうなんかなあ、と思ってちょうど見つけたのでした。学校でのカウンセリングでは、話を聞く部分と指導する部分(訓育的指導)がそれぞれ必要といった感じで書かれていて、なるほど、と思ったものでした。

黒沢幸子「未来・解決志向のブリーフセラピー タイムマシン心理療法」(2008年、日本評論社)

いくつか基本的な本を読んで基礎がわかったところで、という前提付きですが、この本は本当にオススメです。読んでいて4~5回は泣きました。

解決志向ブリーフセラピーのミラクルクエスチョンを少しアレンジして日本の現場で受け入れられやすいようにしたタイムマシンクエスチョンというものがあって、その手法を軸に事例紹介をしつつ、解決志向ブリーフセラピーがどのようにクライエントに関わっていくか、を描いた一冊です。ひとつひとつの事例の中で、クライエントが成長していく姿がとても感動的で、そんな成長に立ち会えるカウンセラーになれたら幸せだなあ、と素直に思えた本でした。

ブリーフセラピストかどうかを超えて、カウンセラーとしての在り方を感じる上でも、とても影響を受けた本です。

青木安輝「解決志向(ソリューションフォーカス)の実践マネジメント」(2006年、河出書房新社)

こちらはソリューション・フォーカスとなっていますが、内容は解決志向ブリーフセラピーと同じです。青木さんという方は、解決志向ブリーフセラピーをビジネス向けに紹介し、ご自身もソリューション・コンサルタントとしてご活躍されている方です。

全体を網羅した本ですが、森先生の著書に比べるとやや固い(というか森先生の本がやわらかすぎる?)かな、という印象です。

ビジネスの現場、日頃の上司・部下関係などで解決志向ブリーフセラピーを活かしたい場合などは、こういった切り口の本のほうが良いかもしれません。

橋本文隆「問題解決力を高めるソリューション・フォーカス入門」(2008年、PHP研究所)

こちらも青木さんの本と同様、ややビジネス向けな印象の本です。絶版になっていて、中古で購入しました。

ざっと、私が読んだ本(一部は流し読み程度)はこのあたりです。インスー・キム・バーグの本とか、原著にも当たってみようと思って、そちらはまだ読んでいませんが、まず最初に読まれるとしたら上記のいずれか、オススメとしては、

  1. 森俊夫・黒沢幸子「<森・黒沢のワークショップで学ぶ>解決志向ブリーフセラピー」
  2. 森俊夫「“問題行動の意味”にこだわるより“解決志向”で行こう」
  3. 黒沢幸子「未来・解決志向のブリーフセラピー タイムマシン心理療法」

こんな順番で3冊ってところでどうでしょうか。